「痛みを抑えた」
矯正治療を目指す
「ワイヤーで締め付けて歯を動かすなんて痛そう」……。そんな不安から、矯正治療を敬遠されている方もいらっしゃるかと思います。しかし当院では、やさしい力でじわじわと歯を動かせるワイヤーを使うなど、患者さまができるだけ痛みを感じないよう配慮した治療を行なっています。
たとえばワイヤーは、『ニッケルチタンワイヤー』という形状記憶合金でできたものを使っています。形状記憶合金の性質を利用することで、やさしく無理なく歯を動かせます。
また、ワイヤーの締め付けができるだけ緩やかになるような配慮もしています。ゆっくりと力をかけられるよう緻密に調整したうえでワイヤーをつけるので、痛みを抑えられます。
実際、あまりに痛みを感じないため、「痛くないけど大丈夫?」と聞かれたこともあります。「もっと締め付けをきつくして、早く歯を動かして」とおっしゃる患者さまもいらっしゃるほどです。「矯正治療は痛いもの」と思い込まれている方は、痛みを感じないことで不安になられるのでしょう。しかし、締め付けは弱くても、歯はしっかりと動いているのでご安心ください。
「矯正したいけど、痛みが不安」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
痛みを抑えた矯正治療を行なうために
ニッケルチタンワイヤーでやさしく歯を移動
ニッケルチタンワイヤーに使われるニッケルチタン合金には、形状を変えても元の形状に戻る『形状記憶』の性質があります。
通常、この性質があると、大きく曲げると大きな力で、小さく曲げると小さな力で元に戻ろうとします。
しかしニッケルチタン合金には『超弾性』があり、大きく曲げても弱い持続的な力で元に戻ろうとします。これにより、歯をやさしく動かせるのです。
『0.012インチ』のワイヤーから
矯正治療で使うワイヤーの太さには種類があり、太いほど痛みを感じやすいとされています。一般的に、矯正治療を始めるときには、0.014~0.016インチのワイヤーを使うことが多いようですが、それだと痛みを感じやすくなってしまいます。
そのため、『0.012インチ』のワイヤーから始め、慣れてきたら少しずつ太いワイヤーへと移行し、痛みを抑えられるようにしています。
また、更に痛みが心配な方に対しては『0.010インチ』のワイヤーも用意しています。
ワイヤーをきつく締め付けない
歯が動くのは、ワイヤーをブラケットに結び付けて固定し、ワイヤーの力を歯に伝えるからです。このときに、きつく締め付けることで強い力がかかります。
治療の都合上、どうしても強い力をかける必要が生じることもありますが、それはやはり歯の痛みの原因となってしまいます。
しかし当院では、ワイヤーをきつく締め付けず、ワイヤーの力が歯にやさしく伝わるように工夫しているので、痛みを感じにくくなっています。
健康な歯を
できるだけ残す
じつは、当院の院長も矯正治療の経験者です。治療に際し、「上下4本の抜歯が必要」と診断され、嫌々ながら健康な歯を抜きました。経験者として「できるだけ歯を抜きたくない」という患者さまのお気持ちは、痛いほどよく理解しているつもりです。
(院長は、この矯正治療がきっかけで「将来矯正医になろう」と思いました。抜歯は嫌でしたが、矯正治療のすばらしさは感じていましたし、治療していただいた先生への憧れもありました。矯正医となったいまは、「あのときの抜歯は必要だったんだ」と理解しています。)
そのため当院では、できるだけ歯を抜かない矯正治療を心がけています。緻密な診断とそこから得た結果を元に、まずは歯を抜かないことを選択します。
歯を抜かなくても治せる患者さまに対し、無理に歯を抜くことはありません。
歯を抜かずに治療できる方法について、以下でご説明します。
できるだけ歯を抜かないために『歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療』
『歯科矯正用アンカースクリュー』は、矯正治療に使うチタン合金製の小さなねじのようなもので、これを支えにして歯を動かします。歯肉に埋め込みますが、直径2㎜以下、長さ1cm以下と小さいので、数分ほどの小規模な手術ですみ、痛みはほとんど感じません。埋め込んだ後、すぐにお帰りいただけます。
治療が終わったら取り外し、その部分は自然と元の状態に戻ります。
この歯科矯正用アンカースクリューを使用することで、歯を抜かずに治療できる場合があります。
通常の矯正治療では困難な歯の移動も
なお、口蓋(上顎の裏側)に歯科矯正用アンカースクリューを埋め込めば、通常の治療では難しい上の大臼歯(奥歯)の後方移動や圧下(歯を歯根の方向に移動させること)などができます。
治療期間の短縮
また歯科矯正用アンカースクリューを使うことで、治療期間を短縮できる場合もありあます。
従来であれば1本ずつ歯を動かしていた症例でも、奥歯を歯科矯正用アンカースクリューで固定することで、複数本の歯を同時に動かすことができるため、治療期間の短縮につながるのです。
舌側矯正と組み合わせて幅広い症状に対応
前歯を引っ込める治療をする場合、奥歯を固定源としますが、表側矯正だと逆に奥歯のほうが動いてしまう場合があります。しかし舌側矯正であれば奥歯が動きにくく、前歯が引っ込みやすくなります。
そこに歯科矯正用アンカースクリューを組み合わせることで、歯列を大きく動かせるだけでなく、幅広い症状をより短期間で治療できるようになりました。
以上のように、歯科矯正用アンカースクリューを使うことで、歯を抜かずにすむ症状もありますが、なかにはどうしても抜歯が必要となってしまう症状もあります。
「できるだけ歯を抜きたくない」「他院で抜歯が必要といわれた」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。患者さまの症状をきちんと見きわめ、ご希望に沿った治療ができるよう努めさせていただきます。
症状によっては、抜歯で美しい仕上がりに
患者さまの症状によっては、小臼歯(前から4・5番目の歯)などの抜歯が必要な場合もあります。また、歯を抜いたほうがよい仕上がりになる場合があるのも事実です。
残念ながら、「100%歯は抜かない」とは言いきれません。より美しい口もとにするためには、抜歯が必要になることがあることも、ご理解いただければと思います。
抜歯にあたっては、もちろん患者さまにご説明し、きちんと同意を得てから行なうのでご安心ください。